2015ブラジルリポート② ズンビの日そしてイタグアイー
11月20日は祝日『黒人意識向上の日(ズンビの日)』、黒人奴隷解放のために闘ったZumbiの命日をその啓発の日としています。カポエイラのルーツそのものとも言える記念日に、私たちも本部アカデミア近くの路上でカポエイラのホーダをしました。

ちなみにこの日は祝日のためか休みの店も多く、人通りがいつもに比べて少なく寂しい感じがしました。
話がそれますが、ここはいわゆる商店街で、通りの両側にいろいろな店が並んでいます。道幅は結構広くて基本的に車は通行せず、路面は石畳で整備されています。銀行や衣料品店、雑貨店、電気屋、くすり屋などなど、それからブラジル特有の『パーティーグッズの店』なんかもあります。誕生日や結婚のパーティーなど、盛大にかつ手作りで行う習慣があるので、その材料が売られています。どぎつい原色の絵の具の瓶が並んでいますが、それはいわゆる『食紅』で、ケーキのデコレーションの色づけに使われます。

ここイタグアイーはもともと先住民が住んでいた土地に移民が農地開拓のため入植し、そこが街として形成されていきました。そして’80年代初頭に港が開港されてから、大きく発展してきました。鉄鉱石などがイタグアイー港の主な取扱貨物だそうです。
以前、サンパウロからの長距離バスでイタグアイー港の近くを通過した時、夜遅くにも関わらず街路灯を頼りに路上で魚を売っている人たちがいました。イタグアイー港で水揚げされたのでしょう。そうやって生活している人も居るのだと思いました。バスで通っただけにもかかわらず、そこ一帯がとっても魚臭かった記憶があります。
港町として栄えたイタグアイーですが、現在、皮肉なことに港湾関連の職を求めて外部から人々が流入し、治安がさらに悪化しているそうです。またブラジル全体の失業率の上昇、インフレにより生活困難に拍車がかかっています。
早朝、イタグアイーの街の中心辺りを通りがかった時に人が列を作っているところがあったのですが、それは日雇いの仕事を求める人たちとのことでした。仕事はいわゆる肉体労働だけではないそうです。
治安のことですと、ある日家の近所でタクシー車中、ガファイニョットがふと「今、前に停まった車には気をつけて」と言ったことがありました。その前の車に3人ほど少年が乗り込んでいったのですが、私はその怪しさに全く気づきませんでした。薬物の取り引きか何かだったのでしょうか。やはり危険を察する感覚は鈍いです。結局自分は『見えていない』のでしょう。また現地の人々の会話や言っていることが情報として自分の中に入ってきていない、という言葉の面も大きいと思います。
気をつけて…そう言われた後はなんだか怖かったです。
その他にもインフラの整備が著しく遅れている、システムや発想が非効率的…などネガティブな事象は枚挙にいとまありませんが、ブラジル全体の政策にも問題があり一筋縄ではいかないようです。
そんなイタグアイーですが、豊かな自然、老若男女生きるパワーに溢れる人々、熱さに負けないパワーを蓄えるためのゴハン、匂い立つような空気感…。そして夕焼けがこんなにも綺麗です。